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心理検査って? 心理検査の種類と活用方法

 「心理検査」についてどのようなイメージを持っているでしょうか?

「考えていることが全て分かってしまいそう…」「これで診断がつくの?」など、何に役立つのか分からないという方も多いと思われます。心理検査には様々なものがありますが、共通して言えることは、より客観的な見方で自分自身を知ることができるということです。また、自分自身を知るということは、問題の解決に繋がる可能性があります。さらに、通院するにあたり、支援・治療計画を立てるために集める情報の一つとしても心理検査は実施されています。どのようにしたらより自分自身が楽に過ごしていけるか、これから身に着ける工夫や対策は何かを客観的・間接的な方法で測定し、得られた数値や情報から治療者側が理解すること、自分自身が知ることが大切になります。

今回は、当院で行っている心理検査をご紹介させて頂き、安心して検査を受けて頂けたらと思います。

〇知能検査

個人の特性(得意なことや苦手なこと)がどのような点に現れるか、知能や発達の水準を客観的に明らかにするための検査です。検査を受けることで、「他の人と比較して自分の特徴を知ることができる」「自分の中での能力のばらつきを知ることができる」「今後の生活を送りやすくするためのヒントになる」などのメリットが挙げられます。また、自分自身の特性について他の誰かに伝える際、客観的な資料として検査結果が役立つことも多いです。

● WISC-Ⅴ・WAIS-Ⅳ…知能指数(IQ)を測る検査です。発達の特性や傾向が分かります。

● PARS-TR…養育者から得られた情報をもとに、自閉スペクトラム症の可能性を判定します。

〇人格検査

性格(パーソナリティ)傾向を測定するための検査です。例えば、物事をどのように捉えがちなのか、こだわりや衝動的な傾向、困ったときに攻撃的になるのか、内にこもってしまいがちなのかなど、思考や行動の特徴を整理していくことができます。人格検査には大きく分けて【投影法】【描画テスト】【質問紙法】の3つがあります。

【投影法】

良い・悪い、正解・不正解などがない曖昧な図形や文章を提示し、自由に反応してもらいます。その刺激に対する反応をデータとして収集し、無意識の性格傾向を理解することを目的としています。

ロールシャッハテスト…10枚の図版を提示し、それが何に見えるかを自由に反応してもらいます。反応内容を整理し、心の内面を理解していきます。

SCT…文章を書いてもらい、性格傾向全体を推測します。字の書き方、筆跡や行間などの印象から判断することもできます。

【描画テスト】

絵を描くことで性格や無意識などの心理的特徴を把握します。描かれた絵や、描いている様子を通して、内面を理解していくことを目的としているため、絵の上手い下手を見ているわけではありません。

バウムテスト…身近な題材である木を描いてもらうので多くの方に行っていただけます。

HTPテスト…家・木・人を描いてもらい、家族イメージや自己像などを把握していきます。

【質問紙法】

「はい」「いいえ」といった選択肢を選んでいただき、意識的な心理的特徴を把握するための検査です。結果の数値化が簡単にできるため、客観的な比較がしやすいと言えます。

Y-G性格検査…「抑うつ性」「客観的」など12の項目に分けられ、多面的に性格傾向を把握できます。

AQ-J…自閉スペクトラム症傾向を測定する検査です。「社会的スキル」「想像力」など5つの項目に分けられており、傾向の把握とスクリーニングにも使用されます。

〇認知機能検査

質問への回答や作業によって認知機能の低下の程度を把握するために実施される検査です。一定の基準を下回ると認知症の疑いがあると判断されますが、認知症の鑑別は身体検査・神経心理学検査・脳画像検査などを用いて総合的に判断していきます。そのため、認知機能検査は認知症の適切な診断のための1つの資料として扱われます。

HDS-R…9つの項目について質問形式で把握します。点数が低くなると認知機能障害を有する可能性が高いとされています。

ADAS…「記憶」「言語」「行動」の3つの領域について把握します。アルツハイマー病の診断時に進行の程度や経過の中で病状の変化を把握する目的で用いられます。

以上のように心理検査は様々な角度から自分について客観的に知るきっかけとなります。もちろん、検査は一側面を表しているにすぎませんが、いくつかの検査を組み合わせることで、自分への理解をより深められる可能性があります。また、心理検査をもとに診察だけでなくカウンセリングでサポートさせていただくことも可能です。何かお困り事がある場合や自分についての理解を深めるためにも一度、心理検査を受けてみませんか?

※心理検査のご希望がある際には、診察時主治医へご相談ください。また、今回ご紹介した検査は当院で行っている心理検査の一部となっております。心理検査についてご質問などあれば、お気軽にお問合せください。

 

 

執筆

臨床心理士・公認心理師 小林

更新:2023/4/10

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