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マインドフルネスとブッダの教え

皆さん、マインドフルネスをご存じでしょうか?

私たちは、今この瞬間を生きているようでいて、実は過去や未来のことを考えて、                          「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めています。                                       特に過去の失敗や未来の不安といったネガティブなことほど長い時間考えてしまいやすいものです。                              このため自分でストレスや不安を大きくしてしまっているのです。

マインドフルネスは、このような心ここにあらずの状態から抜け出し、                                「今この瞬間の何かに注意を向けて気づくこと、                                             そして気づいたものを良い悪いと判断をせずに、あるがまま受け入れること」です。                                                       つまり心を“今”に向けた状態を「マインドフルネス」といいます。

一般的にマインドフルネスの状態になる手段として呼吸に注意を向ける瞑想があります。                           この瞑想は、脳を活性化させ、ストレスを溜まり難くしたり、                                  仕事のパフォーマンスを上げたりする効果があるといわれ、                                    医学やビジネスの世界で大きな注目を集めています。                                          日本でもIT企業を中心に、マインドフルネス瞑想を社員研修に取り入れる企業が増えています。

面白いことにマインドフルネスのルーツは仏教です。                                        1950年代に多くの僧侶がアメリカに渡り、アメリカでマインドフルネスが広まり、                              1979年には医療分野に導入され、研究が行われ、                                                  さまざまな効果があると科学的に証明されました。                                                    iPhoneやiPad、Macintosh(Mac)で有名なApple社の創業者の一人である                                   故スティーブ・ジョブズ氏も実践していたといわれています。

仏教にルーツを持つマインドフルネスは、                                                  ブッダの教えを紀元前3世紀頃にまとめた原始仏典の中に垣間見ることができます。                                                   ブッダはさまざまな苦しみから逃れる具体的な実践法のひとつに                                     八正道、正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定という教えを説いています。                        その中のひとつである「正念」がマインドフルネスにあたります。                                      

正念とは「心と体を客観的によく観察して、                                                                 貪る気持ちを克服した“正しい気づき”(正しい気づかい)」 のことをいいます。                                      この正念を英語訳すると「(正しい)マインドフルネス」になります。                       「よくなりたい」という気 持ちだけではストレスが溜まります。                                  そのようなときにこそ立ち止まって心身を観察する正念を持つことが大切とブッダは説いています。 

また、ブッダは「足るを知り、わずかな食物で暮らし、簡素な生活をしなさい」といっています。                       これはどういうことかというと現在、生活習慣病の多くは食べ過ぎが原因ともいわれています。                       そのためものを食べるときにはまず心を落ち着けることが大切になります。                               心が落ち着いていると心身の状態を客観的に観察して、今必要とする食事を考えることができ、                      ある程度は食事の質を変え、量を抑制することにつながると考えられます。                               しかし、これを実践することは容易ではありません。                                    なにしろブッダの弟子になる方への教えのひとつだからです。

最後に心を“今”に向け、意識を集中する呼吸の瞑想を紹介します。

  1. 背筋を伸ばして、少し骨盤を立てるような感じで座ります。                                            目は軽く閉じてください。※イスに座って行ってもよいです。
  2. 初めは呼吸に注意を向けてみます。                                                 「吸う」呼吸と「吐く」呼吸、自分の体がしている呼吸を感じ取りましょう。                   ※呼吸を感じ取る場所は、鼻先の空気の入り口でもいいですし、                         お腹や胸の辺りが膨らんだりへこんだりする感じでもいいです。
  3. 注意がそれても「呼吸」に戻しましょう。                                            ※呼吸に注意を向けていても、考えごとや、雑念が浮かんだりするかもしれません。                 注意がそれたことに気づいて、再び「呼吸」へと注意を戻しましょう。

1日2回、朝起きたあとと夜寝る前に行うことがオススメです。                                     時間は1回5分でも構いませんが、慣れてきたら30分ほど行ってもよいです。

※精神疾患のある方は、主治医と相談の上、専門家の指導のもとで行ってください。

執筆:臨床心理士・公認心理師 清水 

更新:2021.07.31

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